私の投資スタイルは、コア・サテライト戦略が軸です。前回はコア部分、つまり米国株のインデックス投資信託を長期積み立てで堅実に育てる話をしました。今回はサテライト部分、米国個別株に挑戦する際の心構えを綴ります。
40代になると、無理のないペースで資産を増やしたい気持ちと、個別株に少し刺激を求める気持ちが共存します。XなどのSNSを見ると、「売るのは弱さ」と感じる空気もありますが、私は米国個別株に関しては売るのも選択肢だと考えています。売って後悔したこともあれば、安堵したこともある。その経験から得た思いを、初心者の方にも伝わるようお伝えします。
(注釈:ここでの「売る」はサテライトの米国個別株の話です。コアのインデックス投資信託は長期視点で積み立てるので、下がっても売ることはありません。この違いにご注意ください。)
米国個別株を売却することについて
米国個別株をやっていると、売るタイミングにはいつも迷います。例えば、成長を期待して買った株が予想に反して下がり始め、「これはまずいな」と感じること、少なくありません。私も何度も経験しました。売った後に株価が急上昇して、「我慢していれば」と後悔したこともあります。去年、米国のテック企業株を買ったとき、決算が市場予想を下回り下がり始めたので損切りしたら、次の週に反発。チャンスを逃した気分でした。逆に、下がり続けて「売っておいて良かった」と安心したケースもあります。あるフィットネスクラブ関連の銘柄は決算をミスして暴落しましたが、早めに売ったおかげで大きな損失を避けられました。持ち続けていたら資金が大きく減っていたでしょう。
Xを見ていると、米国株での成功談が目立ちます。「この株で10倍に」「握力が利益を生んだ」と。そういう投稿を見ると、自分の判断が甘いのかと一瞬思います。ただ、よく考えれば、それは生存者バイアスの結果です。成功した声が大きいだけで、裏には多くの損失や撤退がある。私も危うくその一員になるところでした。派手な報告に気を取られすぎると、冷静さを失うだけだと感じています。
買い方で気をつけていること
米国個別株を始めるなら、買い方にも注意が必要だと実感しています。私が意識しているのは、ピラミッド型の買い方。最初に資金の50%で買い、株価が上がればさらに25%を追加、最後に残りを投入する形です。例えば、100ドル使えるなら、まず50ドルで様子を見て、調子が良ければ25ドル追加、という具合。この方法だと、一気に全額を投じるリスクが減りますし、下がった場合も最初の50%で抑えられる。米国株は値動きが大きい銘柄も多いので、無謀な賭けより慎重さが大事。一括で買って下がったときに焦った経験もあるので、分割で冷静に判断する癖をつけています。初心者の方にも、この「少しずつ試す」感覚はおすすめです。

規律が支えになる
サテライトの米国個別株では、規律が何より大切だと考えています。感情に振り回されて持ち続けたり、慌てて売ったりすると、損失が膨らみがち。私が自分に課しているルールは以下の通りです。
- ここまで下がったら売る
損切りラインを事前に決めています。買値から20%下がったら売却。「もう少し待てば」と迷いますが、そこを抑えるのが肝心。20%で売った株がさらに50%下がったこともあり、このルールに救われました。 - 買った理由がなくなったら売る
「この企業は成長する」と思って買ったのに、決算をミスするなど状況が変われば持つ意味が薄れます。米国株はニュースや決算で動くことが多いので、理由がなくなれば手放して次に進みます。 - 一気に買わない、売らない
ピラミッド型の買い方とも繋がりますが、資金を一度に動かすのはリスクが高い。分割で少しずつ動かすと、精神的な負担も減り、失敗のダメージも小さく済みます。 - レバレッジ銘柄は小ロットで短期
米国にはレバレッジのかかった銘柄もありますが、値動きが激しいので少額で短期的に挑む程度。長く持つと損失につながることが多いので、慎重に扱っています。

この規律のおかげで大きな失敗は避けられてきました。逆にルールを破ると痛い目に遭います。ある米国株で「もう少し戻るはず」と損切りラインを超えて握ったら、30%以上の損失で手放す羽目に。規律は自分を支える柱ですね。
損小利大の考え方
サテライトの米国個別株での基本は「損を小さく、利を大きく」です。これが長く続けるコツだと感じています。買った株が下がったら、タイミングが悪かったと割り切って早めに売る。20%下がったところで売った後、別の銘柄で30%取れたこともあります。損切りが資金を次の機会に回してくれたわけです。
(繰り返しですが、コアのインデックス投資信託は別。長期で米国市場の成長を信じて積み立てるので、下がっても売ることはありません。サテライトとは戦略が違います。)
問題は、「下がったら売る」と決めても実行できないとき。昔はよくありました。下がると「ここが底だろう」と希望的観測で握り、含み損が膨らむ。最後は投げ売りで大損。典型的な「損大利小」です。この癖を直すのに時間がかかりましたが、今は「決めたら動く」を徹底しています。その分、メンタルも安定してきました。

米国個別株をやってきて感じること
サテライトで米国個別株を経験する中で、色々な気づきがあります。利益が出たときの満足感もあれば、損失から学んだことも多い。結局、自分のメンタルや資金に合ったペースを見つけるのが大切だと感じました。人の成功と比べても仕方ありません。無理せず自分に合った形で続けるのが一番です。
米国個別株は、自分との対話のようなもの。市場に振り回されず、自分のルールで判断する。売るのも買うのも自分の責任です。Xの華やかな報告に気を取られる必要はないし、失敗の山に埋もれる必要もない。規律を守り、損小利大を意識して、淡々と進めていく。それが私のサテライトでの米国個別株との向き合い方です。
コアは米国インデックスで堅実に、サテライトで個別株を味わう。このバランスで今は落ち着いています。投資に正解はないので人それぞれですが、私にはこの形がしっくりきています。米国株に興味を持った初心者の方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

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