イントロダクション
2025年7月、投資の世界で大きな変化が起きています。長年投資の常識とされてきた株式と債券の逆相関関係が崩れ、債券の「安全資産」としての地位が揺らぐ中、金やビットコインなどの実物資産に注目が集まっています。この変化の背景と、投資家が知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
なぜ今、資産クラスの変化が起きているのか
金融政策の転換点
リーマンショック後の長期にわたる金融緩和政策により、世界各国の政府債務は大幅に拡大しました。特に米国では、財政赤字の拡大が継続しており、これが金融市場に大きな影響を与えています。財政赤字は、政府の借入と支出の増加によって引き起こされ、金にとって有利なさまざまな経済状況を生み出します。こうした状況には、インフレ期待の高まり、通貨安、政府の債務履行能力をめぐる不確実性の高まりなどが含まれます。
従来の投資戦略の限界
S&P500やオールカントリー(オルカン)への過度な集中投資に対する警鐘が鳴らされています。株式と債券の相関関係が高まる中で、従来の分散投資戦略の有効性が問われる状況となっています。このような環境下で、投資家は新たな資産クラスへの分散を模索しています。
金:再評価される「安全資産」の王様
地政学的リスクの高まり
国際調査機関のワールドゴールドカウンシル(WGC)によると、2025年1~3月期の金の投資需要は前年同期比で2.7倍に膨らんだ。米国の関税政策などを巡る先行き不安を背景に、相対的な「安全資産」とされる金にマネーが集まった。
2025年の金市場の見通し
2025年には、米国や欧州などで景気抑制的な水準にある政策金利を引き下げる動きが継続することが予想されます。金価格は金利低下時に上昇する傾向があるため、緩やかなペースながらも利下げの継続が予想されることは、金価格にとって追い風になると期待されます。
特に注目すべきは、金融市場における米国に対する信頼低下が2025年4月以降の金価格の上昇を牽引してきたという点です。トランプ政権の政策が金価格にプラスの影響を与える可能性が高いとされています。
中央銀行の金購入継続
2025年に入っても継続する中央銀行の金購入が金価格を支える重要な要因となっています。世界各国の中央銀行が外貨準備として金を積極的に購入する動きが続いており、これが金価格の下支え要因となっています。
ビットコイン:デジタル時代の新たな選択肢
市場の成熟と機関投資家の参入
下落と回復を繰り返してきたビットコインですが、2025年7月は上昇基調にあり、史上最高値12万3000ドルを突破する場面も見られています。この背景には、機関投資家の継続的な資金流入があります。
2025年6月23日から7月11日までの13営業日で、米国のビットコイン現物ETF市場には累計約8.78億ドルの純資金が流入しました。これは、ビットコインが制度的な投資対象として確立されつつあることを示しています。
規制環境の整備
2025年7月現在は仮想通貨規制緩和期待や、米早期利下げ観測が後押しし、ビットコイン含む市場全体が上昇している。規制の明確化により、機関投資家がより安心してビットコインに投資できる環境が整いつつあります。
価格予想と将来性
専門家の間では、不測の事態が生じなければ、2025年末のビットコイン価格予想は$108,621.92となっています。ただし、バーンスタインのアナリスト「Gautam Chhugani」氏は、2025年までに15万ドルに達する可能性があると述べています。
実物資産投資の注意点とリスク管理
価格変動リスクの認識
実物資産は価格変動が大きく、短期的な投機には大きなリスクが伴います。金は日々価格が変動するため、購入時より価値が下落する元本割れのリスクはあります。投資家は、これらのリスクを十分に理解した上で投資判断を行う必要があります。
分散投資の重要性
SBIアセットマネジメントの朝倉氏をはじめとする専門家は、分散投資の重要性を強調しています。金やビットコインへの投資は、ポートフォリオの一部として位置づけることが重要です。
投資手段の選択
金投資においては、金ETFの活用や、ビットコインについては楽天ウォレットなどの暗号資産取引所の利用が考えられます。それぞれの手段には異なるメリット・デメリットがあるため、自身のリスク許容度と投資目的に応じて選択することが重要です。
2025年の投資戦略:バランスの重要性
新たな資産配分の検討
従来の株式・債券中心のポートフォリオから、金やビットコインなどの実物資産を含む多様な資産クラスへの分散が求められています。ただし、これらの資産はあくまでポートフォリオの一部として位置づけることが重要です。
長期的な視点の維持
2025年以降、米国でイーサリアムに続いて複数のアルトコイン現物ETFが承認され、それに伴ってアルトコインブームが再来する可能性はあるだろう。このような市場の発展を見据えた長期的な投資戦略が重要です。
まとめ
2025年は、投資の世界において大きな転換点となる年です。金やビットコインなどの実物資産が新たな投資選択肢として注目を集める中、投資家は従来の常識にとらわれず、変化する市場環境に対応した投資戦略を構築する必要があります。
重要なのは、これらの新しい資産クラスを理解し、適切なリスク管理のもとで投資を行うことです。金融市場の変化を敏感に捉え、継続的な情報収集を行いながら、自身のリスク許容度に応じた投資判断を行うことが、2025年以降の投資成功の鍵となるでしょう。
投資は常に自己責任であることを忘れず、専門家の意見を参考にしながらも、最終的な判断は自身で行うことが重要です。変化する市場環境を理解し、適切な投資戦略を構築することで、長期的な資産形成を目指しましょう。