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パウエルFRB議長と相互関税:ソフトランディングは夢と消えるのか?

40代FIRE

アメリカ経済を率いるFRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が、再び試練に直面しています。トランプ政権が掲げる大幅な関税引き上げが現実味を帯び、他国との「相互関税」合戦がちらつく中、彼が長年追い求めてきた「ソフトランディング」は果たして実現するのでしょうか?今回は、パウエルのこれまでの歩みと、関税が経済に投げかける影を時系列で紐解きつつ、その影響を考えてみます。
FRB(連邦準備制度理事会)の説明は、以前のブログを参照ください。

パウエルの旅路:ソフトランディングへの執念

パウエルがFRB議長に就任したのは2018年。それ以来、彼の目標は明確でした:インフレを2%に抑えつつ、雇用を最大化する「ソフトランディング」。経済が過熱しすぎず、急ブレーキもかけず、ちょうどいい塩梅で着地させる――言うは易く、行うは難しのこのミッションを、彼は一貫して追い続けてきました。

  • 2018~2019年: トランプ政権の経済成長下で利上げを実施。初期の対中関税が始まるも、FRBは独立性を保ちつつ対応。
  • 2020年: パンデミックでゼロ金利と量的緩和を導入。ソフトランディングは一旦お預け。
  • 2021~2022年: インフレが急上昇(8%超)。急速な利上げで対応しつつ、「雇用も守る」と強調。
  • 2023~2024年: インフレが2%台に落ち着き、失業率も低水準。ソフトランディングが現実味を帯びる。

2024年まで、パウエルは見事にバランスを取ってきました。インフレを抑えつつ景気後退を回避し、「経済は良好」と胸を張れる状況に。ところが、2025年に入り、状況が一変します。

2025年:関税の嵐が吹き荒れる

トランプ再選後、大幅な関税引き上げ案が発表されました。
対中関税60%、全輸入品に10~20%――これまでの想定をはるかに超える規模です。
パウエルは2025年4月4日の講演でこう述べています:

「関税引き上げが想定よりもかなり大きく、不確実性は依然として高い」

彼の声には、懸念が滲みます。関税はFRBがコントロールできない「外部ショック」。
これがソフトランディングにどんな影響を及ぼすのか、考えてみましょう。

トランプ関税については、以前のブログの参照ください。

相互関税の二面性:雇用と物価の綱渡り

関税の影響は、良い面と悪い面が複雑に絡み合います。

1. 雇用への希望とリスク

  • 希望: 高関税で輸入コストが跳ね上がれば、海外メーカーがアメリカ国内に工場を移す可能性が。製造業の雇用が増え、失業率が下がるかもしれません。
  • リスク: 他国が報復関税を課せば、アメリカの輸出(農業や製造業)が打撃を受けます。輸出が細れば景気が悪化し、リストラの嵐が吹き荒れる恐れも。

パウエルは「失業率とインフレの両リスクが高まる」と認め、雇用への影響を注視しています。短期的な雇用増が長期的な不況に飲み込まれないかが焦点です。

2. 物価上昇は避けられない

関税がかかれば、輸入品や部品の価格が確実に上がります。インフレ圧力は避けられず、パウエルが守りたい「インフレ期待の安定」が揺らぐリスクが。彼はこう警告します:

「一時的な物価上昇が継続的なインフレにつながらないようにするのが責務」

国内で部品供給が回るようになれば解決するかもしれませんが、サプライチェーンの再構築には数年かかるでしょう。それまでは、FRBは利上げで対応せざるを得ない可能性も。

3. 関税合戦の悪夢

最悪のシナリオは、他国との関税合戦がエスカレートし、「スタグフレーション」(物価上昇+景気停滞)が起きること。雇用も物価も悪化すれば、ソフトランディングどころかハードランディングが待っています。

パウエルの選択:嵐の中の舵取り

パウエルは感情を抑え、「より明確な状況を見極める」と慎重姿勢を崩しません。関税を「許しがたい」と叫ぶより、データを見ながら柔軟に対応する道を選ぶでしょう。でも、彼にとって、この状況はまさに「予測不能な嵐」。ソフトランディングが成功するかどうかは、他国の反応や企業の適応速度にかかっています。最後に:読者のみなさんはどう思う?

関税がアメリカ経済をどう変えるか、まだ誰も答えを持っていません。パウエルはこれからも綱渡りを続けるでしょうが、果たしてソフトランディングの夢は守れるのか

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